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最初の人類が地球に登場したのは,私が高校生のときに使った世界史の教科書には「少なくとも100万年前」と書いてありました。
しかし,その後研究が進むにつれて古くなり,今は教科書によってバラツキがありますが,アフリカ中部で発見されたサヘラントロプスは700万年前にまでさかのぼります。
わずか,50年ほどで500万年以上も古くなっているのは驚きです。
先史時代は文字による記録のない時代で,文字による記録のある時代が歴史時代です。
文字は農耕・牧畜の開始後,都市が生まれ,階級差が生まれて,発明されたと考えられています。この映画では,ピラミッドの場面で設計図らしきものに文字が書かれていたので,厳密に言うとすでに歴史時代に入っていることになります。
主人公の若者のマンモスを狩る狩猟民族は,馬に乗って襲ってくる部族を,「四本足の悪魔」と呼んでいます。
アメリカの古代文明の人々が馬に乗るスペイン人を怪物と恐れたことが,少数のスペイン人に征服された一つの原因だとされています。ただし,それは16世紀前半のことですが。
この映画では黒人の農耕民が登場します。農耕と牧畜は,西アジアで約9000年前に始まったとされています。紀元前1万年はちょっと早いかもしれませんが,まあ許容範囲でしょう。
主人公の若者がサーベルタイガーあるいは剣歯虎の一種スミロドンを助け,そのサーベルタイガーが現れて若者をかばったことから,農耕民の信頼を得ます。
しかし,サーベルタイガーは,10万年前に絶滅していますので,人類と共存したことはあるものの,この時代には存在しません。
ちなみにサーベルタイガーはネコ科ですが,古い時代に分岐したため,ネコ属やヒョウ属とは見かけのようには近い存在ではないそうです。
一方,この映画で人間によってピラミッドの巨石を運ぶために使役されているマンモスは,1万年前くらいまで生存していました。
やはり絶滅したのですが,人間の狩猟の対象になったためという説もあります。しかし,家畜化したというのは無理でしょう。
また,マンモスという語は巨大なものの意味に使われますが,実際には私たちが知っているゾウとそんなに大きさは変わらないようです。
シベリアでは,よく冷凍保存されたマンモスの死骸が発見され,日本でも公開されたことがあります。もし完全なDNAが取り出せれば,マンモスをクローン技術で復活させることができるそうです。
さて,最後にこの映画に登場するピラミッドは,頂上にベンベン石とも呼ばれる金色に輝くキャップストーンがのせられていることから,明らかにエジプトのピラミッドです。
だとすれば,エジプトのピラミッドは,定説よりずっと古い時代に建設されたという立場に基づいているのかもしれませんが,まあ単に映画製作上の演出にすぎないのでしょう。
結局,神とされた支配者は若者に槍で殺されて正体ははっきりせず,一方殺された若者の恋人は,遠く離れた故郷にいる巫女のおかげで生き返るなど,最後はつじつま合わせのようでした。
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