今月見た映画(2017年7月)

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○はブログで取り上げた作品。●は取り上げなかった作品です。

●「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」 2016
U-NEXTで見ました。
1996年公開の「インデペンデンス・デイ」の続編で,20年後の設定になっていますから,公開された2016年の話です。インデペンデンス・デイとは,もちろんアメリカの独立宣言の発表された7月4日のことです。私も7月4日に見ました。前作同様,巨大な宇宙船で異星人が攻めてきて,多くの犠牲者を出しながら結局撃退するというストーリーです。共通の敵を持ったとき,集団は団結するという,アレです。映画を見終わったら,北朝鮮がICBM実験を行ったとニュースでやっていました。やはり,異星人の攻撃でも受けない限り,こういうことがくり返されるようです。

○「紀元前1万年」 2008
DVDで見ました。
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/07/08/
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/07/10/

●「バットマン対スーパーマン ジャスティスの誕生」 2016
Netflexで見ました。
バットマンとスーパーマンが対決するって,相当無理があるなと思って見ていませんでした。やっぱり,もともと無理があるので話をことさらにややっこしくしているのですが,結局,バットマンがスーパーマンを倒そうとするのは,自分の会社のビルがスーパーマンと悪との戦いに巻きこまれて壊され,社員が犠牲になったため。あまり説得力がないように思えました。一方,スーパーマンがバットマンと戦う理由は,母親を人質に取られて脅かされたためという,結構ありがちな理由です。スーパーマンは怪物を倒しますが,自らも殺されて埋葬されます。あれ,復活しないの,と思っていたら,エンディングの最後で柩の上にかけられた土が浮かび上がるのが,0.3秒くらい見えます。

●「ロスト・ワールド/ジェラシック・パーク」 1997
U-NEXTで見ました。
「紀元前1万年」で恐竜の話を書いた関係で見たのですが,なぜか第1作の「ジュラシック・パーク」ではなく続編の方を先に見てしまいました。第1作は,公開時も見ていません。この2作目は,ハラハラするシーンも崖から落ちそうになるトレーラーから脱出するところだったり,なんか恐竜がメインになっていないような印象を受けました。ところで,この映画にも出てくるティラノサウルス・レックスは一時,体中に毛が生えていたといわれて,再現したCGも見たことがありますが,鱗に覆われていたという説が出たみたいですね。なにせ約6500万年前に死滅していますから。その時間で,人類が猿人から現代人になるのを13回繰り返せます。

○「レッズ」1981
DVDで見ました。
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/07/18/
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/07/21/

●「恋愛適齢期」
Amazonプライムビデオで見ました。
「レッズ」に出ていたジャック・ニコルソンつながりで見ました。独身で30歳以下のの女性としかつきあわない男と,その彼女の母親で脚本家の女性が恋をするラブ・コメディです。描きようによっては危ない話になりそうなのを,おしゃれな話にしてあります。男は10ほどの会社を経営し,女は脚本家,生活には何の不安もない。男は心臓発作で倒れるけど,すぐに回復し,恋の胸の痛みを発作と間違えて救急車で運び込まれる始末。冷静に考えれば,のんきな映画です。しかし,やはりジャック・ニコルソン,そしてダイアン・キートンで見せます。ダイアン・キートンは最初登場した時,顔には深くしわが刻まれ,「だれ,この人」と彼女であることに気がつきませんでした。でも,それがだんだん素敵に見えてくるのです。年齢を重ねた女性を可愛いと思ったのは,私は彼女で2人目です。

私の参考書です。CDの声は女性のナレーターです。

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「レッズ」(2) 第1次ロシア革命・ロシア革命(ロシア二月革命・ロシア十月革命)

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この映画もアメリカ映画の常で,恋愛映画です。ポスターなどに使われた,リードと妻となったルイーズ・ブライアンが再会して抱き合う写真が象徴的です。

前半はリードと自由恋愛を主張するルイーズ,さらに劇作家のユージン・オニールの三角関係を中心に話が進みます。

私の興味は監督や俳優とは違うところにあることは,すでに書きました。

ただ,この映画でエマ・ゴールドマン役のモーリン・ステイプルトンが助演女優賞を獲得しました。しかし,ユージン・オニール役のジャック・ニコルソンの存在感が際立っているように思います。ジャック・ニコルソンは12回のアカデミー賞ノミネートと3回の受賞歴があります。

途中でインターミッションが入り,その後,リードがルイーズとともにロシアに渡り,ロシア十月革命を体験する場面になります。レーニンが登場し,トロツキーが演説し,リードもソヴィエトで発言する機会を与えられます。

アメリカに帰国後出版した「世界をゆるがした十日間」は,ベストセラーになりました。

リードは社会主義運動に本格的に身を投じ,アメリカ社会党から分離した左派がアメリカ共産党とアメリカ共産労働党を結成すると,アメリカ共産労働党のコミンテルン代表の承認を取り付けるため,再びモスクワに向かいます。

コミンテルン議長のジノヴィエフは,共産労働党のアメリカ代表を認めず,共産党と共産労働党の協力を求めます。

リードは帰国を試みますが果たせず,中東への宣伝活動に参加するのですが,リードを追ってきたルイーズとの再会は果たしたものの,チフスにかかって亡くなりました。33歳になる3日前でした。彼はモスクワのクレムリンの壁に葬られています。

ところで,ロシア革命には,1905年の第1次ロシア革命と1917年のロシア革命があります。第2次ロシア革命というのはありません。

また,ロシア革命は,ロシア二月革命ロシア十月革命の2段階です。

当時のロシアはユリウス暦を使っていたためグレゴリウス暦とは13日ずれていて,ユリウス暦2月23日に起こったロシア二月革命は,グレゴリウスでは三月革命となり,10月25日に起こったロシア十月革命は,十一月革命となります。

第1次ロシア革命は1905年,日露戦争中に起こりました。

首都ペテルブルクで平和誓願のデモ隊に軍が発砲した血の日曜日事件を契機として勃発しましたが,皇帝ニコライ2世十月宣言憲法制定国会開設を約束すると沈静化しました。

しかし,1914年に第一次世界大戦が始まると再び革命運動が高まり,1917年にロシア革命が起こりました。

起こったのは首都ペテログラードにおいてです。ドイツ語読みのペテルブルクを,第一次世界大戦でドイツと戦うことになったため,ロシア風にペトログラードと変えたのです。

ロシア二月革命では,ニコライ2世が退位してロマノフ朝が倒れました。

その後,社会革命党右派のケレンスキーを中心とする臨時政府をレーニンらボリシェヴィキが倒したのが,リードたちが目撃したロシア十月革命です。

映画は,実際にリードと親交のあった人々のインタビュー映像を挟み込んでリアリティを出しています。彼らは1980年の映画製作時点では存命だった人々で,貴重な記録になっています。しかし,それぞれの人物の名前は示されていません。そのなかには高名な文学者のヘンリー・ミラーも含まれます。彼は1980年6月に亡くなっています。

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「レッズ」 (1) 冷戦・デタント・第2次冷戦

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「レッズ」は,ロシア十月革命の優れたルポルタージュ「世界をゆるがした十日間」を著したジョン・リードの半生を描いた,1981年の作品です。

彼の「世界をゆるがした十日間」は,センター試験で問題文として引用されたこともあります。

レッズとは共産主義者のことです。日本でも差別的なニュアンスの「アカ」という言葉がありますね。

これらは共産主義あるいは社会主義の象徴が赤旗であることからきています。元々はフランスで戒厳令をを示す旗だったのが,フランス革命中に虐殺事件が起こり,抗議する側が逆の意味で掲げたことに由来するようです。

この映画は,ウォーレン・ベイティが製作・監督・脚本・主演を兼ね,アカデミー賞に12部門でノミネートされ,監督賞・撮影賞・助演女優賞の3部門でオスカーを獲得しました。

しかし,反共のアメリカで,いくらアメリカ人ジャーナリストだとしても,共産主義者を主人公としてロシア革命を舞台とした映画がハリウッドでよく撮れたものだと思います。

それはこの映画が撮られた時期が大きく影響しています。撮影が行われたのは,1979年から1980年です。

第二次世界大戦後の,アメリカを中心とした資本主義諸国とソ連を中心とした共産主義諸国の東西対立,いわゆる冷戦についてはこのブログでも何回か説明しました。

1955年にはジュネーヴ4巨頭会談が行われ,「雪解け」が進みましたが,1961年にはベルリンの壁が建設され,1962年のキューバ危機では両者の対立は核戦争の危機にまで高まりました。

しかし,1970年代には緊張緩和すなわちデタントが実現していきます。

1971年には,中華民国から中華人民共和国国連代表権が交替し,翌1972年にニクソン大統領は訪中して中華人民共和国を事実上承認しました。

日本は同年,田中角栄首相が訪中して日中共同声明を発表し,国交正常化をアメリカに先駆けて実現しました。

アメリカと中華人民共和国の国交正常化は1979年のカーター大統領時代に実現しています。

また,ソ連は中華人民共和国の国連代表権を後押ししてきたのですが,1956年にフルシチョフ平和共存スターリン批判を発表すると中ソ対立が起こり,1969年には中ソ国境で武力衝突まで発生していました。

1972年の米中接近に対して,同年にソ連のブレジネフはニクソンと第1次戦略兵器制限交渉(SALTⅠ)の条約を締結しました。

1975年にはソ連・アメリカ・ヨーロッパ諸国など35カ国で全欧安全保障会議(CSCE)を開きました。

米中国交正常化と同じ1979年には,ブレジネフはカーターとの間で第2次戦略兵器制限交渉(SALTⅡ)の条約を結んでいます。

しかし,同年,ソ連がアフガニスタンに侵攻すると,アメリカは反発し,翌1980年にモスクワで行われたオリンピックを,アメリカや日本,さらに中華人民共和国などはボイコットしています。

1981年には「強いアメリカ」を掲げるレーガンが大統領となり,第2次冷戦ともいわれる事態になりました。SALTⅡも期限の1985年までにアメリカが批准せず,成立しませんでした。

このようなデタントが頂点を迎え,そして急に再び対立が激しくなる1979年から1980年の時期に,この映画は製作されたのです。

撮影はソ連では行われず,フィンランドやスペインで似たような場所を探して撮っています。

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「紀元前1万年」(2) 人類の誕生,サーベルタイガーとマンモス,ピラミッド

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最初の人類が地球に登場したのは,私が高校生のときに使った世界史の教科書には「少なくとも100万年前」と書いてありました。

しかし,その後研究が進むにつれて古くなり,今は教科書によってバラツキがありますが,アフリカ中部で発見されたサヘラントロプスは700万年前にまでさかのぼります。

わずか,50年ほどで500万年以上も古くなっているのは驚きです。

先史時代文字による記録のない時代で,文字による記録のある時代が歴史時代です。

文字は農耕・牧畜の開始後,都市が生まれ,階級差が生まれて,発明されたと考えられています。この映画では,ピラミッドの場面で設計図らしきものに文字が書かれていたので,厳密に言うとすでに歴史時代に入っていることになります。

主人公の若者のマンモスを狩る狩猟民族は,馬に乗って襲ってくる部族を,「四本足の悪魔」と呼んでいます。

アメリカの古代文明の人々が馬に乗るスペイン人を怪物と恐れたことが,少数のスペイン人に征服された一つの原因だとされています。ただし,それは16世紀前半のことですが。

この映画では黒人の農耕民が登場します。農耕と牧畜は,西アジアで約9000年前に始まったとされています。紀元前1万年はちょっと早いかもしれませんが,まあ許容範囲でしょう。

主人公の若者がサーベルタイガーあるいは剣歯虎の一種スミロドンを助け,そのサーベルタイガーが現れて若者をかばったことから,農耕民の信頼を得ます。

しかし,サーベルタイガーは,10万年前に絶滅していますので,人類と共存したことはあるものの,この時代には存在しません。

ちなみにサーベルタイガーはネコ科ですが,古い時代に分岐したため,ネコ属やヒョウ属とは見かけのようには近い存在ではないそうです。

一方,この映画で人間によってピラミッドの巨石を運ぶために使役されているマンモスは,1万年前くらいまで生存していました。

やはり絶滅したのですが,人間の狩猟の対象になったためという説もあります。しかし,家畜化したというのは無理でしょう。

また,マンモスという語は巨大なものの意味に使われますが,実際には私たちが知っているゾウとそんなに大きさは変わらないようです。

シベリアでは,よく冷凍保存されたマンモスの死骸が発見され,日本でも公開されたことがあります。もし完全なDNAが取り出せれば,マンモスをクローン技術で復活させることができるそうです。

さて,最後にこの映画に登場するピラミッドは,頂上にベンベン石とも呼ばれる金色に輝くキャップストーンがのせられていることから,明らかにエジプトのピラミッドです。

だとすれば,エジプトのピラミッドは,定説よりずっと古い時代に建設されたという立場に基づいているのかもしれませんが,まあ単に映画製作上の演出にすぎないのでしょう。

結局,神とされた支配者は若者に槍で殺されて正体ははっきりせず,一方殺された若者の恋人は,遠く離れた故郷にいる巫女のおかげで生き返るなど,最後はつじつま合わせのようでした。

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「紀元前1万年」(1) 先史時代を扱った映画,人類と恐竜,恐竜の絶滅

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先史時代を扱った映画の1本です。

このほかには,恐竜と人間が戦う,1966年の「恐竜100万年」が有名でしょう。

100万年前には,人類は原人段階でしたが,もちろん恐竜はとっくの昔に絶滅していて地球上に存在しません。

恐竜は,約6500万年前に巨大隕石の衝突の影響で絶滅したというのが,ほぼ定説となっています。

ユカタン半島にある直径約160キロのチクシュルーブ・クレーターがその痕跡だとされ,衝突した小惑星は直径10~15キロ,衝突で起こった地震はマグニチュード11以上と想定されています。

この「恐竜100万年」のあとにも,いわゆる原始人と恐竜が出てくる映画が作られています。

1981年の,元ビートルズのリンゴ・スターが主演した「おかしなおかしな石器人」は,そのような映画をパロディにした作品です。

一方,同年のフランスのジャン・ジャック・アノー監督の「人類創世」は,しっかりとした時代考証で,もちろん恐竜などは登場せず,ネアンデルタール人クロマニョン人が登場します。

今回の「紀元前1万年」を含めて,原始人は映画では英語をしゃべることもあるのですが,「人類創世」ではそういうことはありません。

日本映画にも1997年の「北京原人 Who are you?」という映画がありました。

これは北京原人のDNAから現代に北京原人を復元するという話でしたから,先史時代を扱った映画ではありません。同時期に公開されたのが大ヒット作「タイタニック」であったこともあり,さんざんな興行成績だったようです。

さて,「紀元前1万年」の監督は「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロウ」「2012」のような,異星人や大災害が突然襲ってくる映画が得意なローランド・エメリッヒです。

また,まったく「ゴジラ」を理解していない1998年の「GODILA」や,「もう一人のシェークスピア」という歴史物も撮っています。

よく映画通を自称する人は,映画は監督で見ろ,といいますが,私の興味は別のところにあるので,監督が誰かはあまり興味はありません。

物語は,マンモスを狩る狩猟民族の若者が,馬を操る部族に恋人を奪われ,仲間とあとを追う旅に出ます。

途中で,若者は穴に落ちたサーベルタイガーを助けました。農耕民族と出会い,争いになりかけたところで,先のサーベルタイガーが現れ,若者をかばうようにして立ち去りました。

このことによって農耕民族の信頼も得た若者をリーダーとして,馬を操る民族と戦うためにさまざまな部族が集まってきます。彼らは,いずれも馬を操る部族に家族や仲間を殺されたり,連れ去られたりしていたのです。

馬を操る部族は,川を下るのに鳥のような大きな帆を張った船を使いました。

若者たちは,追いつこうとして星を頼りに砂漠をぬけて,ついに敵の本拠地にたどり着きました。

そこでは,各地から連れてこられたさまざまな部族の人々が奴隷として,マンモスをつかって巨石を積み上げ,ピラミッドを建設していました。

若者は神とされた支配者を槍で射貫いて殺し,奴隷を解放することに成功しましたが,争いのなかで彼の恋人は殺されてしまいました。

しかし,若者の部族の巫女によって彼女はよみがえったのです。

彼らは,農耕民族から穀物の種をもらい,故郷に戻って種を育て始めるのでした。

やっぱり,この映画も時代考証は適当ですね。

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今月見た映画(2017年6月)

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○はブログで取り上げた作品。●は取り上げなかった作品です。

○「ザ・メッセージ」 1976
DVDで見ました。
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/06/15/
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/06/20/

●「アマルフィ 女神の報酬」 2009
DVD で見ました。出演している俳優陣にあまり興味がもてなかったため,今まで見逃してきました。最初,題名を聞いた時は期待しました。アマルフィはイタリアの町で,中世にはヴェネツィア・ジェノヴァ・ピサとならんで東方貿易で栄えました。現在でも,イタリアの海軍旗には,⒋つの紋章がついているのですが,それはこの4都市のものです。ストーリーは,母親とローマを旅していた女の子が誘拐され,母親は日本の外交官とその行方を探すことになり,やがて意外な真犯人とその目的が明らかになるというものです。ただ,アマルフィは途中で捜査を攪乱するために,犯人が誘い出す町として登場するだけです。「女神の報酬」というサブタイトルに至っては,意味不明です。脚本家のクレジットがないことが問題になったのですが,脚本に関わった1人は,この作品が自分の脚本だということを知られたくないと辞退したそうです。

○「7月4日に生まれて」 1989
DVDで見ました。
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/06/29/
http://storiamondiale.sakura.ne.jp/uno/2017/07/01/

●「ルーシー」 2014
Amazonビデオで見ました。
スカーレット・ヨハンソン演ずる普通の女の子ルーシーが,韓国マフィアに新型麻薬の運び屋として,体に麻薬を埋め込まれます。ところが殴られたことで,その袋が破れ,薬が体中にまわり,ルーシーの脳が活性化されていきます。普通の人間は10%くらいしか脳を使えないのに,ルーシーは,その割合が20%,30%とだんだん高まるにつれ,電子機器を自由に操るなどさまざまな能力を発揮するようになります。そして,韓国マフィアと戦いながら,脳科学の権威である研究者に会いに行くのです。ルーシーというのは,この映画でも,化石人類のシーンが挿入されますが,1974年にエチオピアで発見された,人類の祖先アウストラロピテクスの一種の化石人骨につけられた名前です。当時,調査隊のテープレコーダーからビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」が繰り返しかかっていたことから名付けられました。

私の参考書です。CDの声は女性のナレーターです。

聴くだけ世界史(古代~近代へ)    聴くだけ世界史(近現代)

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「7月4日に生まれて」(2) インドシナ戦争・ベトナム戦争・ニクソン

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ベトナムは,第二次世界大戦後,フランスとのインドシア戦争,アメリカとのベトナム戦争という2つの戦争を戦いました。

ベトナムには,第二次世界大戦後ホー・チ・ミンを大統領としてベトナム民主共和国が成立しましたが,フランスがベトナムの独立を認めず,インドシナ戦争が起こりました。

フランスは,この戦争中にベトナム南部にベトナム最後の王朝である阮朝の王であったバオダイを主席として,ベトナム国を建国します。

ベトナム民主共和国が北ベトナム,ベトナム国がフランスの傀儡政権の南ベトナムです。

しかし,アフリカのフランスの植民地であったアルジェリアで独立運動が高まり,フランスはベトナムでディエンビエンフーの戦いで敗北すると,ベトナムをあきらめ,1954年にジュネーヴ休戦協定を結んで手を引きました。

ジュネーヴ休戦協定は,北緯17度線を南北の境界線とし,2年後に統一選挙を行うというものでした。しかし,選挙を行えば,圧倒的人気をもつホー・チ・ミンが大統領になるのは明らかでした。

そこで,共産主義の拡大を恐れるアメリカが乗り出してきて,ベトナム国の主席バオダイを追い出して,ゴ・ディン・ジェムを大統領にベトナム共和国を建てました。

日本と同じように,南ベトナムを民主国家に育て上げ,共産主義に対する防波堤としようとしたのです。

しかし,ベトナム共和国の政府は腐敗し,南ベトナム解放民族戦線がつくられ,反政府のゲリラ活動を展開しました。

アメリカのケネディ大統領は軍事顧問として特殊部隊を送り込んで対応しました。

ケネディが暗殺された後,副大統領から大統領に昇格したジョンソン,トンキン湾事件という,アメリカの艦艇が北ベトナムの魚雷艇に攻撃されたという事件をでっち上げ,これを理由に南ベトナム解放民族戦線に援助を与えている北ベトナムへの爆撃,いわゆる北爆を開始したのです。その爆薬の量はすさまじいものでした。

しかし,映画に描かれているように,アメリカ国内で,なぜ遠いベトナムで戦わなければいけないのかという疑問の声が高まり,ベトナムでのアメリカ軍の蛮行が報道されると,アメリカ国内だけでなく国外でも反戦運動が高ました。

戦闘も長期化して莫大な戦費で財政難となったアメリカは,ニクソン大統領が戦後の国際経済の基礎となっていたドルと金の交換を停止しました。これはドル・ショックあるいはニクソン・ショックと呼ばれます。

さらに北ベトナムの背後にいる中国との関係を改善するため,電撃的にニクソンが北京を訪問して毛沢東と会談しました。

そして,1973年にベトナム和平協定を結び,アメリカはベトナムから手を引きます。

その翌年,ニクソン大統領はウォーターゲート事件で辞任しました。

ニクソン大統領といえばベトナム戦争と結びつけられ,この映画でも主人公は,ニクソンを大統領候補に選ぶ共和党大会に抗議に向かいます。

しかし,ニクソンは結果的に中国との関係を改善し,ベトナム戦争から手を引きました。

戦争を開始したのはケネディであり,ジョンソンです。 ニクソンは前任者たちの尻ぬぐいをしたのです。

以前も書きましたが,もしアメリカの政治を動かしているのが軍産複合体ならば,ベトナム戦争から手を引いたため,ニクソンはウォーターゲート事件を暴かれ,大統領の座から引きずり下ろされたと考えることもできるでしょう。

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