「黒騎士」(2) 第3回十字軍,ロビン・フッド

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この映画では,アイヴァンホーはほぼ名前として使われていますが,本来は王からもらった所領の地名で,原作ではウィルフレッドが名前です。

「黒騎士」というと,受験的には百年戦争初期に活躍したエドワード黒太子を思い浮かべるかもしれません。「黒太子」の名は身につけていた甲冑が黒色であったためのあだ名だとされています。

ただ,黒騎士は本来は主君を持たない騎士をいい,主君を持たないために盾に紋章をつけることができないことに由来します。

この物語では,主人公のアイヴァンホーが素性を隠すために黒ずくめの甲冑を身につけて馬上試合に参加します。しかし,原作では,黒騎士はアイヴァンホーではなく,アイヴァンホーに助太刀する謎の騎士で,実は王のリチャード1世なのです。映画では主人公を際立たせるために単純化されたのでしょう。

登場人物に関して,アイヴァンホーが捕らえられた城を攻撃するシャーウッドの森の義賊の首領は,小説ではロビン・フッドを想起させる人物が別名で登場します。この映画では目立った活躍をすることはありませんでした。

ロビン・フッドは伝説上の人物で,16世紀頃からこのリチャード1世が十字軍に参加している時に王の弟ジョンに抵抗した義賊の首領と考えられるようになりました。

何度も映画化されていて,ケビン・コスナーやラッセル・クロウがロビン・フッド役を演じています。007で有名なショーン・コネリーがロビン,その恋人役がオードリ・ヘップバーンの「ロビンとマリアン」という映画もあります。

リチャード1世が参加した第3回十字軍は,アイユーブ朝を建てたサラディンが聖地イェルサレムを占領したため,教皇グレゴリウス8世の呼びかけで行われることになりました。

神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世とフランス王フィリップ2世も参加したのですが,いち早く出発したフリードリヒ1世は途中のシリアの川で落馬して溺死してしまいました。

フィリップ2世は,リチャード1世とともにアッコンを占領することには成功しましたが,リチャード1世と反目して帰国しました。

そのため,リチャード1世が単独で戦うことになり,結局キリスト教徒のイェルサレム巡礼をイスラーム側が認める休戦協定を結んで帰国します。

当時の王たちはあだ名を持っており,リチャード1世はその勇猛さからライオンハーテッドすなわち獅子心王,フィリップ2世は偉大な王としてオーギュストすなわち尊厳王,さらにフリードリヒ1世はバルバロッサすなわち赤髭王と呼ばれました。

リチャード1世の弟ジョンは,のちにイギリス王に即位しましたが,そのあだ名はラックランド,欠地王といいます。これはプランタジネット朝を開いた父のヘンリ2世から領地を与えられなかったことに由来します。

「冬のライオン」という映画もあるのですが,この「ライオン」はリチャード1世とジョンの父ヘンリ2世のことです。

リチャード1世は,映画で描かれたように十字軍からの帰国途中にオーストリアで捕らえられ,莫大な身代金を支払って釈放されました。

帰国後はフランスでフィリップ2世と戦い,戦闘中の怪我がもとで亡くなりました。在位中にはわずか半年ほどしかイギリスにおらず,戦いに身を置いていました。

英語は話せなかったそうです。

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