「黒騎士」(1) 「アイヴァンホー」・リチャード1世・ジョン

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この映画は,19世紀イギリスのロマン主義作家スコット「アイヴァンホー」の映画化で,1952年の作品です。

舞台は12世紀のイギリスで,プランタジネット朝リチャード1世の時代です。

主役のアイヴァンホーをロバート・テイラーが,ユダヤ人の娘レベッカは当時20歳のエリザベス・テイラーが演じています。

ロバート・テイラーは,大女優たちが共演をこぞって望んだという伝説的な二枚目俳優です。なお,この映画の少し前,彼もやはり赤狩り下院非米活動委員会に呼び出され,反共側に立っています。

エリザベス・テイラーは,のちにハリウッドを代表する大女優となり,8度の結婚など知られています。また,この映画ではユダヤ教徒の娘を演じていますが,実際にこの数年後にユダヤ教に改宗しています。

第3回十字軍で行方不明となったリチャード1世を探すアイヴァンホーは,オーストリアで王が捕虜になっていることを知り,解放に必要な身代金を集めるため,イギリスに帰国します。

故郷に戻ると,アイヴァンホーの愛する高貴なサクソンの女性ロウィーナの後見人となっている父は,サクソン人なのにノルマンの王に仕えているアイヴァンホーを息子と認めません。

王の弟ジョン臨席のもとに開かれる馬上試合に,アイヴァンホーも参加しようとしますが馬も武具もありません。

たまたま,助けることになったユダヤ人商人に,アイヴァンホーは王の身代金を集めることを頼みます。ユダヤ商人の娘レベッカはアイヴァンホーに惹かれ,母親の形見の宝石を馬と武具のためにと差し出しました。

馬上試合に,アイヴァンホーは素性を隠して黒ずくめの姿で参加し,次々と相手を倒しましたが,最後の試合で騎士ギルベールに敗れ,傷ついて倒れます。

レベッカは,魔女に習ったという医術でアイヴァンホーを治療するために家に連れ帰ります。

しかし,王位を狙うジョンはアイヴァンホー一味の逮捕を命じました。ユダヤ商人とレベッカ,父とロウィーナは捕らえられました。

アイヴァンホーは,自らと引き替えに彼らの釈放を要求しますが,だまされて捕らえられてしまいます。そこに森の義賊が助けに来て,城に総攻撃をかけます。

しかし,レベッカだけがギルベールに連れ去られました。ジョンの出席する裁判で,レベッカは魔女として処刑されようとしたとき,アイヴァンホーが現れて決闘裁判を要求します。

ギルベールとの一対一の対決で,アイヴァンホーは辛くも倒し,そこへ解放された王リチャード1世が軍勢を率いて現れます。

倒されたギルベールはレベッカへの真の愛を告白して息絶え,レベッカはアイヴァンホーへの愛を胸に秘め,父と立ち去るのでした。

リチャード1世が第3回十字軍に参加し,帰国途中で捕虜となって身代金を支払って解放されたことや,それを利用して王の弟ジョンが王位を狙っていたことなどは,基本的に事実です。

また,リチャード1世が吟遊詩人の歌に合わせて歌い,自分の無事を知らせたという伝説があり,この映画でも最初の方にアイヴァンホーがリュートを弾きながら歌い,それに王が合わせて歌う場面に出てきます。

歴史的事実や伝説に,架空のオリジナルの物語を絡ませるようなやり方は,NHKの大河ドラマでも同じですね。

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