「ロミオとジュリエット」(2) ゲルフとギベリン,領主裁判権,グループサウンズ

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中世のイタリアの都市では,教皇党ゲルフ皇帝党ギベリンが争っていました。

ゲルフは反シュタウフェン家の大貴族ウェルフェン家,ギベリンはシュタウフェン朝の城ウィーベリングに由来する言葉だとされています。

ジュリエットのキャピュレット家はゲルフで,ロミオのモンタギュー家はギベリンだったのです。

両家が争う場面やロミオが殺人を犯すと,領主があらわれて裁判をします。

中世の農民は領主に貢納賦役の義務を負うだけでなく結婚税死亡税をとられ,教会には十分の一税を負担し,さらに領主裁判権に服しました。

この映画の舞台は都市ですが,まさにこれが領主裁判権です。

この映画の衣装は印象深いもので,おそらく時代考証した上でオリジナルのデザインを加えたものだと思います。この映画は,アカデミー賞の撮影賞とともに衣装デザイン賞を受賞しています。

フィギュアスケートで「ロミオとジュリエット」をテーマ曲として使う場合,とくに男性はこの映画のロミオのような衣装を身につけていますね。

古くは,ちょうどこの映画が公開された前後に,日本ではグループサウンズというバンドブームが起こり,タイガーズ(野球チームではありません)やテンプターズ,スパイダースなど,多くのバンドがデビューしました。

そのうちのオックスというバンドは,明らかにこの映画のロミオをもとにしたと思われる衣装で歌っていました。これを読んでいるみなさんには,何のことか分からないかもしれません。

また,この映画はシェークスピアの戯曲が原作であるため,セリフは不自然に感じると思います。

2人の出会いの舞踏会のシーンでも,有名なバルコニーの場面でも,ロミオは自分の思いを口に出して,長々と独り言を続けます。それはまるで詩を読んでいるようです。

シェークスピアの戯曲は,ほとんどが元ネタがあります。この物語も直接シェークスピアが参考にしたとされる作品があるのですが,さらにその作品ももとはギリシア・ローマ時代にさかのぼることができるようです。

恋は反対されると燃え上がる,これは古今東西変わらないようです。

1961年に映画化された「ウエスト・サイド物語」も,舞台をニューヨークの裏町に置き換えたものでした。不良たちがなんであんなにダンスがうまいんだと思いながらも,この映画も何回も見ました。

1996年には,舞台を現代ブラジルのマフィアに置き換え,ロミオをレオナルド・デカプリオが演じた「ロミオ+ジュリエット」が制作されました。今「ロミオとジュリエット」というと,こちらの映画の方を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。それでも,もう20年以上前になります。

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