「黒船」(1) 日本の「開国」

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この映画は,1858年の日米修好通商条約100年の年1958年のハリウッド映画です。

主演は西部劇のイメージの強いジョン・ウェインで,日米修好通商条約を結ぶことに成功したハリスを演じます。

そのハリスのもとに下田奉行から命じられて仕えたお吉,いわゆる唐人お吉を日本人女優安藤永子が演じています。安藤永子は,ニューヨークのプレミアにまで出席していますが,この作品以外の出演作の情報がほとんどありません。

原題は“The Barbarian and the Geisha”です。アメリカ人が自嘲的にでも「野蛮人」というタイトルをつけているのは,ちょっと注目されます。しかし,「黒船」という日本のタイトルは,ペリーを連想させて安易ですし,センスに欠けます。

物語は,1856年にハリスが通辞のヘンリーと従者を連れて,突然黒船でやってきて下田に小舟で上陸したことに始まります。

下田奉行の田村左右衛門守は,かれらに宿舎を提供し,幕府に対応を問い合わせます。幕府は協議する間,下田に留め置くことを命じます。

そこで下田奉行がハリスらをもてなす宴会で,ハリスは芸者のお吉と出会います。下田奉行はお吉を身の回りの世話のためにハリスのもとに送り込み,ハリスも日本側の動向を探るため,お吉をそばに置くことにします。

やがてアメリカの黒船が再びやってきたのですが,その船にはコレラの患者が乗っていて,制止を振り切って上陸してしまいます。

そのため下田にコレラが蔓延し,ハリスはお吉とともに住民たちの看病に奮闘します。当時コレラの治療法は分かっておらず,しかたなくコレラにかかった者の家を焼く払うことで感染を防ごうとします。

最初は抵抗していた村人も,最後にはハリスに感謝します。下田奉行もこれで借りができたとして,江戸に向かう手はずを整えてくれました。

ハリスはお吉らとともに江戸に向かい,将軍に謁見するものの,幕府内部は開国派と攘夷派に別れて対立し,暗殺事件まで起こります。

下田奉行田村も攘夷派の重臣から命じられ,いったん下田に戻ったハリスの暗殺に向かいますが,お吉の機転によって失敗し,自害します。

お吉は責任を感じてハリスのもとを去りました。結局,日米修好通商条約は締結されることになり,そのため江戸に向かうハリスの姿をお吉は陰から見送るのでした。

さて,入試的には最近世界史でも日本史を重視しようという傾向があります。将来的には日本史と世界史を一つにした教科も作られるそうです。

1853年にアメリカ東インド艦隊のペリーが大統領フィルモアの国書を持って浦賀に来航し,いったん退去したのち,翌年に再び来航して日米和親条約江戸幕府と結びました。

この条約で下田箱館を開港することになっていたので,1956年にハリスが下田に来て,翌年日米修好通商条約を結びます。

これは開港場と領事裁判権関税自主権放棄などを含む不平等条約でした。同年,オランダ・ロシア・イギリス・フランスとも同じような内容の条約を結びました。

しかし,このとき江戸幕府が独断で調印したため,討幕運動が高まります。

そして第15代将軍徳川慶喜は軍制改革や政治改革に取り組んだものの,1967年に大政奉還で天皇に政権を返し,明治維新となります。

1889年には大日本帝国憲法が発布され,翌年第1回帝国議会が開催されました。

その開催直前には何かと話題になっている教育勅語が発布されています。

日本の「開国」については,世界史ではこれくらいでしょう。

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