「世界大戦争」(1) 核戦争の恐怖

スポンサーリンク

最近,北朝鮮の4基のミサイルが同時に発射されるニュース映像を見て,どこかで見たような気がしました。

それで思い出して見たのが1961年に製作された「世界大戦争」という日本映画です。

このなかで,ミサイルが次々と発射される特撮のシーンがあるのですが,あのニュース映像そっくりです。

特撮を担当したのは,「ゴジラ」や「ウルトラマン」シリーズなどで有名な円谷英二です。

物語は戦後16年,復興した日本が舞台です。まさに当時の「今の日本」です。

世界は,核武装した同盟国と連邦国の2つ陣営に分かれて対立しています。映画でははっきり言いませんが,同盟国側はソ連側,連邦側はアメリカ側のようです。

北大西洋で行われていた同盟国側の軍事演習に,連邦国の潜水艦が侵入し,捕獲されたことで両陣営が緊張します。

やがて朝鮮半島の南北朝鮮を分ける38度線で軍事衝突が起こり,小型の核兵器が使用され,第三次世界大戦勃発の危険性が高まります。

日本では,連日報道されるニュースに,人々は戦争の恐怖を感じながらも,そんなことにはならないだろうと楽観的に考え,みんなごく普通の日常生活を送っています。

日本政府は平和を維持し,再び核兵器が使われないようにと外交努力を重ねます。

やがて38度線で停戦協定が結ばれ,戦争の危機が去ったと思われたとき,ベーリング海で両陣営の戦闘機同士の戦闘が起こり,ついに全面戦争が始まります。

ミサイル攻撃を恐れて逃げ惑う人々で日本は大混乱となりますが,ミサイル到達までわずかな時間しかなく,東京は核ミサイルによって一瞬のうちに破壊されます。

世界中の都市ニューヨーク,モスクワ,パリ,ロンドンなどもミサイル攻撃で破壊され,世界は終わりを迎えます。

映画のなかでは,38度線での核兵器使用,ベーリング海での戦闘機同士の戦闘など,なぜ起こったのかというような説明はまったくありません。それは国際情勢と普通の人々の生活との対比を中心に描こうとしたからだと思います。

50年以上前の映画ですが,現在の国際情勢に似ていると思いませんか。

軍事演習中の事件から両者が対立し,しかも武力衝突が朝鮮半島でまず起こるところなど,気持ちが悪いくらいです。

連日,緊迫する国際情勢がニュースで放送されていても,ほとんどの人はそんなことにはまさかならないだろうと,恋愛や日々の雑事に追われている,でもひとたびミサイルのボタンが押されると,取り消しのつかない事態になるのです。

この映画の戦車や戦闘機はいかにもミニチュアで,ミサイル発射装置の機器も玩具のようですが,それでも,今のわれわれの置かれている状況を考えさせられます。

この映画は受験生に見ることはあまり勧められません。

でも,次回は,この映画の作られた1961を中心として世界と日本について受験的にまとめてみたいと思います。

スポンサーリンク