「バーフバリ 伝説誕生」(3) インドの2大叙事詩,レオナルド・ダ・ヴィンチの戦車

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この映画では,主人公が滝の崖を登る時に蝶の化身のような女神が現れて導いたり,何人もの男をなぎ倒す女性の戦士も登場し,王国の実権を握るのが王の義理の姉であったりします。

それでも,やはり男性はマッチョで肉体的に大きく強く,女性のために命をかけて戦い,いくら強い女性でもそのような男性に惹かれるという世界観に貫かれています。主人公もそのライバルの王子も,筋肉隆々でプロレスラーのようです。

また,当然ですが,この映画はヒンドゥー教の世界観に満ちています。

ヒンドゥー教は古代のバラモン教に民間信仰などが融合して成立した宗教で,特定の開祖も経典もありません。そこで前回お話しした二大叙事詩が経典として扱われます。

多神教ですから,さまざまな神々がいるのですが,三大神とされるがシヴァヴィシュヌ,それにブラフマーです。シヴァとヴィシュヌはあとから加わった神で,バラモン教からの神はブラフマーです。

しかし,人気があるのはシヴァとヴィシュヌで,シヴァは創造と破壊の神でヴィシュヌは維持の神です。

ヴィシュヌはいろんな神に変身します。カンボジアアンコール朝の王で,有名なアンコール・ワットを建設したスールヤヴァルマン2世も自らをヴィシュヌの生まれ変わりであるとしましたし,ヒンドゥー教では仏教を開いた仏陀もヴィシュヌの変身だとされます。

インドでは,これらの神々を原色で描いたポスターを壁に貼るのですが,シヴァは一目で分かります。体が灰色で,だいたいあぐらをかいて座っており,眼が3つあり,頭からはガンジス川が流れ出しています。

この映画では,滝の下の村に住んでいた主人公が,彼が滝の上に行かないように母が神に祈るのに反発し,シヴァ神のエネルギーのシンボル,リンガと呼ばれる石を滝のところに移動させる場面が出てきます。

リンガは男性のペニスを象徴しています。このことは,ちゃんと一部の世界史の教科書にも書いてあるんですよ。

ところで,主人公のライバルの王子が,異民族との戦いで乗っていた馬車には,先頭に回転式の巨大な刃が装備されていて,敵の隊列に切り込んで,ばたばたと兵士を切り倒していきます。

これは,レオナルド・ダ・ヴィンチが遺したメモに書かれていたものを参考にしたのではないかと思います。

レオナルド・ダ・ヴィンチはイタリア・ルネサンスを代表する画家で,「最後の晩餐」「モナリザ」を描いた画家として有名ですが,画家だけではなくさまざまな知識と技術を身につけた,当時理想とされた万能人の典型でした。

しかし,彼の考案した武器は,ほとんど実用化されませんでした。当時の技術的限界で実用にはならなかったのです。この巨大な刃のついた馬車も,馬の力では力が不足して,人の体を傷つけるどころか草も刈れないそうです。

さて,続編ではどんな物語が展開し,どんな世界史ネタを提供してくれるのでしょうか。

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