「バーフバリ 伝説誕生」(2) インドの2大叙事詩,カースト

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この映画の時代の設定はどうなっているのだろうと考えました。

監督はインドの2大叙事詩の一つ「マハーバーラタ」を参考にしたそうですが,登場人物などにあまり共通点はないようです。

ちなみに2大叙事詩「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」ヒンドゥー教の聖典と記述されることがありますが,とくに「マハーバーラタ」の一部,「バガヴァッド・ギーター」が哲学的内容をもっていて聖典として扱われます。

「マハーバーラタ」はとてつもなく複雑なストーリーで,しかも登場人物の名前が覚えられません。

この映画も実は同じで,主人公の名はシブドゥ,本当は王族のマヘンドラ・バーフバリ,非業の死を遂げた父王はアマンドラ・バーフバリ,母の王妃はデーヴァセーナ,ライバルの王はバラーラデーヴァなのです。

「マハーバーラタ」には,このような名前がたくさん出てきて,訳がわからなくなります。

「マハーバーラタ」は,4世紀から6世紀のグプタ朝の時代に現在の形にまとまりました。しかし,その物語ははるか昔のことになっています。

たしかに映画に出てくる武器は槍・刀と弓矢,さらに投石機だけです。また,王国側の戦い方はギリシア・ローマの重装歩兵による密集戦法,ファランクスを思い出させます。

ところが,この映画の途中でイスラーム教徒のような商人と武器の取引をする場面が出てきます。古くからインドは西アジア方面と貿易をしていましたから,イスラーム教徒の商人とは限りません。

でも,もしイスラーム教徒の商人なら少なくとも7世紀以降ということになりますね。

奴隷身分の親衛隊長に「困ったらいつでも来い」みたいなことを言っていましたから,続編で登場するのかもしれません。そうするとその正体が明らかになるでしょう。

とにかく,この前編だけでは時代はわかりません。

ところで,インドの身分制度カースト制はよく知られていますね。

憲法では禁じているにもかかわらず,いまだにインドには根強く残っており,さまざまなトラブルのもとになっいています。

古くは,インドに侵入したアーリヤ人が,バラモンクシャトリヤヴァイシャシュードラの4つからなる身分制度のヴァルナ制を広め,それに生まれと職業が結びついたジャーティという身分が合体してカースト制が成立したと考えられています。

カーストという語も,インドに早く到達したポルトガル人のポルトガル語の「カスタ」が,その後イギリスがインドを植民地化したため,英語化したものです。

ヴァルナはもともと「色」の意味で,侵入したアーリヤ人は肌が白く,先住ののドラヴィダ人は色が黒かったことに由来するとされています。

この映画でも,主人公を含む王国の人々は色が白く,攻めてくる「野蛮な」民族は色が黒いのは,このことを背景としていると思われます。

さらに,攻めてくる民族は王国の人々とは異なる言葉を話し,通訳を介さなければ意思の疎通ができないことになっていました。

また,彼らは舌打ちするような独特の発音をします。興味深く見たのですが,今のところこれが何を意味するのか,私にはわかりません。

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