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今回は,同僚からのリクエストがありましたので,2015年の「エクソダス 神と王」をとりあげます。旧約聖書のヘブライ人の出エジプト,すなわちエクソダスを描く作品です。
http://www.foxmovies-jp.com/exodus/
ドリー=スコットは,ローマ帝国の五賢帝最後のマルクス=アウレリウス=アントニヌスとその子コンモドゥスが登場する「グラディエーター」や,SFの金字塔「ブレードランナー」や「エイリアン」などで有名です。
「金字塔」は「金」の字の形に似ているピラミッドのことで,そこから「不滅の業績」を意味する語となりました。
リドリー=スコットの監督作品のリストのなかに「ハンニバル」という作品をみつけると,第2回ポエニ戦争でカルタゴ側の将軍としてローマ軍を苦しめたハンニバルの映画かと思ってしますが,違います。「羊たちの沈黙」の続編で,ハンニバルは主人公の猟奇的人物の名前です。
ちなみに,第2回ポエニ戦争でハンニバルと戦ったローマの将軍がファビウスで,19世紀のイギリスの社会主義者グループでイギリス労働党の中核となったフェビアン協会は,このファビウスにちなんで名付けられました。
さて,この映画を見ていると,どうしても1956年のセシル・B・デミル監督の最後の監督作品「十戎」と比べてしまいます。彼は1923年にも同じ題材で「十誡」を撮っており,「十戎」はそのリメイクです。
モーセ役はチャールトン・ヘストンで,彼が杖を振ると紅海が真っ二つに割れて道が出来るジーンはあまりにも有名です。一方,今回の「エクソダス 神と王」でモーセを演じるのは,バットマンを演じたクリスチャン・ベールです。
セシル・B・デミル監督の「十戎」の最初に,ラムセス2世の父セティ1世の玉座が出てきます。
おそらく,ツタンカーメンの玉座のコピーです。下の写真は,私がカイロのエジプト考古学博物館で撮った実物の写真です。
この写真でははっきり分かりませんが,背もたれには,針のついた釣り糸みたいなものが放射線状に何本もついた円盤が彫られています。
これは,アメンホテプ4世が行った古代エジプトの宗教改革で信仰が強制された一神教のアトン神をあらわす図像です。
アメンホテプ4世は,名前もアトンの入ったイクナートンに変えました。その子がツタンカーメンなのです。しかし,彼に時代には従来のアメン神信仰に戻りました。
彼の名は,もとはアトンの入ったツタンクアトンだったのですが,アメン神信仰に戻ったためツタンクアメン,すなわちツタンカーメンに改称したのです。
それはともかく,これは前14世紀の話で出エジプトの100年ほど前の話なので,セティ1世の玉座にアトン神が彫られているわけはありません。
でも,今回の「エクソダス 神と王」はもっと大胆です。
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