「アサシンクリード」 (2) 「エデンの果実」とテンプル騎士団

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この映画に出てくる「エデンの果実」は,旧約聖書の創世記に出てくる「善悪の知恵の実」のことです。

旧約聖書によれば,神によって創造されたアダムとイブはエデンの園で暮らしていました。神はこの知恵の実を食べることを二人に禁じていましたが,蛇に誘惑されてイブがその実を食べてしまい,アダムもイブの勧めで食べ,神の怒りで二人は楽園を追放されます。

これがキリスト教,とくにカトリック教会における人間の原罪です。

一般には,この果実はリンゴだとされていて,この映画でも”apple”になっていたと思います。

17世紀にイギリスのミルトンは,この物語をピューリタン文学の代表作である「失楽園」に書きました。

映画では,この「エデンの果実」は,人間を暴力から解放する力を持つものということになっています。それは自由意志を人間から奪うことであり,それによって人類を救済できるとしてテンプル宗教騎士団が手に入れようとし,アサシン教団との間で長い間奪い合いが続いているというのです。

宗教騎士団は,11世紀から12世紀にかけて十字軍の時期に聖地イェルサレムで結成された,修道士でありながら武器をとって戦う組織です。具体的には聖地巡礼の警護や病院経営などに携わりました。ヨハネ騎士団・テンプル騎士団・ドイツ騎士団があります。

今年の京大入試でドイツ騎士団の「結成当初の活動目的は何か」という問題が出ました。

ヨハネ騎士団は,十字軍の失敗後,拠点をキプロス島・ロードス島・マルタ島と移しました。現在も存続していてイタリアのローマに事務局を置いています。

ドイツ騎士団は帰国後,バルト海方面に東方植民を行い,それがプロイセンの起源となります。

テンプル宗教騎士団は銀行業などで大もうけをしたため,その財産を狙うフィリップ4世に弾圧されて,14世紀に潰滅しています。

フィリップ4世といえば,教皇ボニファティウス8世アナーニ事件で捕らえたフランス王ですね。この事件は1303年ですが,その前年,国内の支持を得るためフィリップ4世は初めて三部会を招集しました。

テンプル騎士団が弾圧された日が13日の金曜日だったため,不吉な日とされるようになったのです。

この映画の舞台は15世紀末ですから,ほとんど200年後の話です。でもテンプル騎士団は現代まで続いていることになっていて,「果実」を手に入れた彼らが総会を開いたのはイギリスのロンドンでしたから,18世紀末にイギリスで成立したとされているフリーメイソンと結びつけられているようです。テンプル騎士団にその起源を求める説があります。「ダ・ビンチ・コード」でも同じようにテンプル宗教騎士団が登場します。

今日は,キリスト教におけるアダムとイブ楽園追放ヨハネ騎士団テンプル騎士団・ドイツ騎士団,そしてフィリップ4世について押さえておいてください。

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